とあるXの戯言

色々社会不適合者の話

Xジェンダー当事者でその他色々社会不適合者による、どうでもいい話たち。

好きだった人の結婚式に出てきた

皆さんこんにちは。

やっと書く気になった。

高校のとき好きだった友人(女子)が結婚して、このほど結婚式に招待されたので出席してきた。

ほとんど昔の自分語りになりそうだけど、どうぞご容赦ください。



時系列で話そうと思います。


◆好きだった頃

一目惚れだった。



入学式初日、人見知りでコミュ障の俺が勇気振り絞って話しかけた、出席番号が近かった女の子、その女の子の中学からの友人で隣のクラスだったのが、今回結婚した俺の好きだった人、Fだった。



中学からの友達なんだ、と紹介されたその瞬間「あ、この子のこと好きになる」と思った。

大体、一目惚れのときは、これはもしかしたら一目惚れとは正確には言わないかもしれないけど、目にした瞬間に「好きだ」と感じるんでなくて、「お前はこの後この人のことを好きになるッッ!!」みたいな、ジョセフみたいな予言型なんだよな。
まあその啓示みたいのはジョセフ口調(cv.杉田智和)ではないんだけど。



で、ジョセフ的予言は絶対なので、じきにFのことにやはり惚れた。
本気でちゃんと惚れれば割と長期間一途な質なので、順調に一人で「ああ何で俺はレズなんだろう」とこじらせていった(当時は「なり損ないの女性」自認なのと、男性嫌いなのと、ほとんど女性にしか指向が向かなかったのでレズビアン自認だったし、「レズ」が蔑称なのすらも知らなかった)。



転機になったのは、友人の友人という知り合いに毛が生えた関係が生ぬるく続いていた高1の夏、Fが俺たちの部活(軽音楽部)に転部してきたことだった。
それで、Fのいるバンドと、俺のいる3ピースのバンドの計7人で「イツメン(死語)」となり、「友人の友人」から一気に昇格した。

いつも7人でいた。
俺は、こんな自然に一気にお近づきになれるようなことがあっていいのだろうかと、一人で舞い上がって加速度的にこじれていった。

(ちなみに、結婚式は新郎新婦のご親族以外には俺らしかいないという、肩身が狭いんだかアットホームなんだかみたいな式だった。)



基本的には多くを語らなくて静かであと色白、勉強も真面目で頭もよくて成績も上の方でバイトもしてたけど、すぐボケたがって、一緒に隣で授業を受けていると俺のノートにパンツの落書きをしまくるような、独特のユーモアがあってみんなに好かれていたし、俺もそういうところが大好きだった。
高2の梅雨、ふざけて部室で自然に壁際に追いやられて壁ドン(当時の流行っていたコンテンツ)されたのは今でも忘れられなくて、気持ち悪くてごめんな。



しかし、そんなふうに一人で「禁断の愛」の沼にハマって楽しい時間もそう長くは続かず、ちょうど壁ドンされた頃、俺の全然知らない男子とつきあい始めたと、Fがイツメンに公表した。
あのときほど、ショックのあまりありとあらゆる臓器を吐き出しそうになったことはそうそうない。少なくとも社会人になってからはない。

(そんなにイツメンで一緒なら気付いても良さそうなもんだがな、と思われれるかもしれませんが、俺はそういうことには基本的に疎いし恋バナとなると逃げるように避けるし、言われるまで本当に1人だけ何も知らなかったので、まあ世間はこういう奴のことを鈍感というんでしょうな。)

その頃の俺のこじらせぶりは最高潮に達していたので、たとえこの先Fが誰かと付き合ったり別れたり結婚したり子どもを授かったり離婚したり再婚したり死んだりしたとしても、一生この想いを一人貫いて墓場までもってくからな、と勝手に一人で誓っていた(クソ重たくて引く)。



だが、「思ってたより相手が重くてしんどかった」という理由で、1ヶ月程度でFはその男子とあっさり別れてしまった。
(笑いながら「重すぎて別れたよ~」と言われたときに「じゃあ俺にする?」というのが舌先からよほど出そうだったけどチキンだから言えるはずもなく。)

それで、あんなに重い誓いを打ち立てていたのに、いや打ち立てていたからか、「俺はこんなに想ってるのに、お前はこんなに簡単に他の奴とくっついたり離れたりするのか」(かなりメンがへらってる)と絶望して、冷めた。

1ヶ月のうちに2回も絶望したけど、あれほどの絶望はやはりこれよりあと片手で数えるほどもない。
そういや、恋以外で、それ以外に何も考えられないほど絶望したことは、ほとんどないかも、1年くらい前の最高に会社辞めたいときくらいかしら。



まあそれからもイツメンとしての関係は表面上変わらず続いたわけで、友人の一人としてこうして今回結婚式に呼ばれたわけです。


◆結婚を知って、準備と、式当日

・結婚報告

社会人になってしばらくしてイツメンで会ったときにに、Fがいくつか年上の職場の男性と結婚を前提にお付き合いしていると知った。
まあそのおかげで「覚悟」はできていた、とっくにもうFは好きじゃない、はずなのに。

で、今年の春についったで入籍したと知った。
まだ20代半ばなんだから、もう少し「自由」でいたっていいのに、と性格のゆがみで誰かとパートナーシップを築くということを現世では諦めてたひがみなのか、どんどん俺の知らないFになっていくことのさみしさなのか、色々ない交ぜだったけど割と冷静に受け止めた、つもり。
とりあえずついーとをいいねしておいた。

夏にイツメンで集まったときに、結婚式を内々でやるからみんな来て欲しい、とお誘いいただいた。
みんな、二つ返事でOKした。


・準備

ここからは「クローズドFtXが結婚式に出た」感が強くなります。



そもそも、小さいころも含めて結婚式に出席したことがなかった。
どんな感じなのか全然分からない。



まず、何が必要なのか、何を準備しないといけないのか準備することから始めた。

ドレスとかパンツスーツとか、服。
パンプス。
クラッチバッグ
別のちゃんと色々入るサブバッグ。
アクセサリー。
ご祝儀袋とお金。
化粧品。
髪が長いから、美容院の予約。

何も持ってねえ。

ということで手始めに靴を買うことにした。
が、パーティー用として売られている靴のヒールの高さも細さもてんで合わない。履けない。立てない。歩けない。
ピンヒール履いたときは、「俺綱渡りしてるんだっけ」というくらいフラフラだった。
丸の内のOLはよくあんなの履けるよね。
(俺も、丸の内じゃないけど、港区のOLなんだがね。一応)

そもそもヒールの高さがある靴をここ1年以上は履いていないし、唯一もっていた就活の靴も一人暮らしのときに実家においてきてしまっているような有様だったから、まずはヒールとはなんたるかを思い出すことから始めるしかなかった。
つっても5cmもないんだけど。



服は、結婚式が何か分からないのにいきなり変化球を投げるのは向こう見ずだからとりあえず様子見ということで、ドレスをレンタルすることにした。

どんな服をレンタルすればいいか母とLINEで相談していた際、どうにも話がかみ合わねえなと感じていたら、よくよく話を進めたところ、母は俺がパンツスーツ一択だと思っていたということが分かった。
「25になったら婚活サイトに登録しないと」とか言ってた割には、さすがにこのナリだから俺は「普通の女性」ではないことをさすがに悟り始めてるのかしら。
でも俺スカートも割と穿くし実家にいたときもワンピースよく着てたのに、母には「男勝りな娘」としか映ってなかったのだろうかと、微妙な心境だった。

あと、ストッキングはやっぱり肌触りが苦手で帰宅後即脱いだこととか(何で就活のときは毎日穿けたんだろうか)、クラッチバッグってマジで何も入らなさすぎて不便なことこの上ないとか、美容院で完全にお任せにしたところ形はまあまあよかったんだけどなんつっても整髪剤が耐えられなくて帰宅してストッキングも脱いだ後に即洗髪したことは、まあどうでもええやね。

(強いて言えば、私の知り合いのFtXは9割ショートヘアと言っても過言ではないんだけど、ショートの友人は美容院に行かず自分でまとめる程度で済んだらしいね。だからショートFtXの皆さんはわざわざ美容院に行かれる必要はないと思いますよ。ちょっとうらやましい。)


・式出席

洋式の結婚式(?)だった。即ち、チャペルでウエディングドレス。

扉が開いて、チャペルにずるずる裾を引っ張って純白のドレスと紫の生花の髪飾りをつけてFが登場したとき、友達はみんな感嘆のため息できれい~みたいな雰囲気が周りに漂ったけど(およそ感想を口に出せる空気じゃなかったからみんなはっきりと口にはしてないけど、でもそんな感じがした)、自分はその雰囲気に溶け込めていたか、愛憎悲喜こもごもな顔をしていなかったか、いまいち自信がない。
まあでもきっと誰も見てないだろ。

誓いのキスって、てっきりガッツリすると思っていたので、それを見届けなければならないことが一番ネックだったんだが、頬に軽いキスをしただけだった。
それでもその瞬間は「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」と心の中で叫んでいた。

披露宴ではもちまえの食欲を全開にしておかわりもらえるものは一番もらって(勿論周りを見ながら、断トツでもらいまくるんじゃなくて気持ち多い程度にとどめた、さすがに)、私は元々写真が苦手だから自分ではほとんど撮らなかったけど、みんなが撮る写真には適度に入ってOLらしい笑顔をしていた、はず。
披露宴が終わって退出するとみんなが撮った写真をLINEのアルバムにバンバン上げて、Fのきれいな写真が画面いっぱいに埋まった。


◆後日談

結婚式から数日後、学生時代の友人のアカウントをのぞいたら、Fが結婚式を挙げたことを報告していて、それに別の高校の知り合いが「おめでとう」とリプを飛ばしていた。
すると、それに対して「旦那様に幸せにしてもらう笑」とFが返しているではないか。

あんなに頭よくて面白いFが、他人に幸せにしてもらうの。
あなたは、十二分に自分で自分を幸せにできる力があるでしょうに。

どうしても、本当はそんなことくらい考えられるはずの賢い女性でさえも、そのうち男様に幸せにしてもらう考えになっちゃうようなシステムの国なのかな。
ああ変えたい。





職場の先輩で結婚出産をしている方が、以前飲み会で結婚出産した理由として「周りが結婚出産すると、そうでない自分は気軽に会えなくなる。けど、子どもがいれば子どもを連れて会える。だから、私も同じステージに立とうと思った」と言っていて、そんな考えのない私は、周りと同じステージに立ちたいから自分以外の命や人生に責任を負う勇気は到底ない私は、めちゃくちゃ驚いた。

いずれもしFが子どもを授かったら、一生独り身の予定の俺はいよいよ同じレベルにいられなくなって、会えなくなるのかな。

あーあ、結局自分本位でやんなっちゃうな。